12月中旬、東京のオペラシティで柚木沙弥郎さんの「永遠のいま」展を見にいってきた。その時の心地の良い余韻が、今もまだ続いている気がする。

2024年1月に、惜しまれながらその101年の生涯を閉じられた柚木沙弥郎さん。型染めをする友人の影響もあり、日本民藝館に行ったことからその存在を知り、作品をみて、素敵だなぁ、と名前を気に留めるようになった染色家さん。

「永遠のいま」と題された回顧展は、当然だけれど、これまで柚木さんが携わってこられた作品で溢れていた。単なる文様ではない、生活の延長にある眼差しと手が生み出す仕事の数々は、エネルギーと愛情にあふれていて、「80歳で物心がついた」というチャーミングさもたっぷりの、幸せな空間だった。

そこには柚木さんの万物に対する慈しみのようなものが込められていて、見ている私にもその温かな感情が分け与えられていたような気がしている。

圧巻だったのは100歳を超えてからの作品。

そこには、後世のわたしたちも引き継いでいかなければいけない、平和への強い希求が宿っていたように思う。

よく展覧会に行くと年表のようなものがあるのだけれど、100歳を超えた年表は、これこそ年表だ!とも思わされた。生きてなんぼ。続けてなんぼ。1歳1歳を、その都度。そして100歳を超えてみえてくるものがあるんだと。

全体を通じて、藝とは、生活の延長にあり、心を耕し、豊かにしてくれる、そんなことを教えてもらった展覧会だったように思います。私も書で、その地平を歩んでみたい、今改めてそんな風に思います。

折を見て、立ち返ることになるだろう、貴重な視点を頂いた機会でした。

柚木沙弥郎先生、本当にありがとうございました。心よりご冥福をお祈り申し上げます。

※写真はどこかのマンションの壁のヒビ。亀とπみたいでかわいい。柚木先生が、宅配の配送表の裏のカーボンの模様を見て、いいなぁと思って作品を作ったという話を聞いてから、自分のフィルターが新しく増えた気がします。感謝。

kabe